Update 2022.1.26

京都の純喫茶の歴史を探る 「純喫茶ラテン」

マナティとイエティ(京都ホテル観光ブライダル専門学校 旅行学科1年)さん

京都は歴史のある美しい神社や仏閣、重要文化財に恵まれた日本を代表する都市です。そんな京都には和の要素だけではなく、レトロな雰囲気の洋風な喫茶店がたくさんあることをご存じでしょうか。そんな京都で、古くから地元の方に愛されている純喫茶ラテンをご紹介します。

祇園四条駅近くの純喫茶ラテン。観光客でにぎわう四条通りを南にはいると、トリコロールのレトロな看板が光って迎えてくれます。店中に足を踏み入れると、そこはまるで別世界。壁にはめ込まれたステンドグラスの光が店内を彩っています。

「20歳からこの店を始めて、もう70年近くになります」と語る店主の井上硅子さん。20歳の頃に、当時同じ町内で可愛がってもらっていたフランソワ喫茶室の奥さんに3か月間教育を受け、喫茶店の仕事を一から教わり、ラテンを始めました。「今日があるのはフランソワの奥さんのおかげです」と、取材中何度も仰っていました。

店内にたくさん飾られているステンドグラスは、なんと全て硅子さんの手作り! 制作作業にはかなりの力が要るため、現在はもう作っていらっしゃらないそうですが、85歳までたくさんの種類のステンドグラスを作ってこられたそうです。特に硅子さんのお気に入りは、ひと際大きく美しいクレオパトラのステンドグラス。店内に入ってすぐには硅子さんが一番苦戦したという、鳥かご型の立体的なステンドグラスがあります。

また店内のテーブルとイスは創業当時に有名な彫刻家さんに栗の木で作ってもらったものが、今も使われています。テーブルは幅が狭く作られており、近い距離で会話を楽しむことができます。

ラテンのコーヒーはネルドリップコーヒー。今でも硅子さん自らが淹れることがあるそうです。「イライラせずに心を落ち着かせて、リズム良くしないとおいしいコーヒーは淹れられない」と仰っていました。

白と黒の二層になっているのは、キューピットと呼ばれるカルピスをコーラで割った飲み物です。昔は関西の喫茶店の定番メニューでしたが、最近はその名前を目にすることは少なくなっているため珍しい商品です。

ちなみに「ラテン」という店名は、「裸天」からきているそうです。硅子さんのご実家が象牙やべっ甲の商品を扱っており、店内にも象牙の裸の像が飾られています。そのため硅子さんのお父様が「裸の天国」で裸天と名付けられたのをラテンに変えて始められたそうです。

紹介したところ

純喫茶ラテン

  • 京都府京都市東山区大和町8
  • TEL 075-561-4245

マナティとイエティ(京都ホテル観光ブライダル専門学校 旅行学科1年)さん

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