「株式会社ロマンライフ」河内 優太朗さんに聞く 〈3〉

「京の洋菓子」からの新展開

和菓子発祥の地といわれる京都。洋菓子で京都を語るなら、最近は抹茶素材のお菓子が主流になる。和菓子とは違う、京ブランドの洋菓子はどうあるべきか、京の洋菓子文化のあるべき姿についてお聞きしました。

コミュニケーション手段になるお菓子

洋菓子の歴史は、南蛮菓子の伝来に影響され、明治期以降に普及。家庭への浸透に一番貢献したのは、戦後のクリスマスやバースデーケーキといった記念日の生菓子だったといわれています。日本のお菓子文化は、京都でも同じこと。河内さん曰く「京都のお店にお越しになるお客様には素敵なエピソードがいろいろあります」。

京都に育てられた会社として、京都のお役に立てないかと取り組んでいるのが「ちびっ子夢プロジェクト」です。子どもたちが考えた夢のケーキを、パティシエがケーキにして販売する「ちびっ子パティシエ」。もう一つは「ちびっ子ケーキ教室」で、コック帽をかぶった子どもたちがつくるのを、ご両親や兄弟、おじいさんやおばあさんが見守る中で作っていただきます。ある子どもさんは「お父さんとお母さんに感謝のケーキを作りたい」と。出来上がったケーキを囲んで、どんな話をするのかなと想像をしてしまいます。お菓子は、一つのコミュニケーションの手段になるんですね。私たちは、誕生日にケーキが一つあって、家族で集まって、部屋を暗くして、ろうそくをつけて、ふっと消して会話が始まるそんな景色と、それを用意している時のワクワク感を提供したい、そんな風に思っています。

生活必需品ではなく幸せ必需品を提供する

最近は、母の日にケーキを贈る方も増えています。贈り物を大切にする京都だからこそ、ということもあるでしょうけれど。実は、コロナ禍に母の日ケーキを販売させていただきました。水やお米などの生活必需品でもないケーキを買ってくださるお客様がいらっしゃるのか、とても不安でしたが、母の日当日、北山のお店に間隔をおきながらでも行列をつくってくださって。私たちは、生活必需品ではないけれど、幸せになるための必需品を作っているんじゃないかと、奢ることなく思え感謝しました。

幸せの価値観は時代とともに変わっていきます。これからは、お客様が「良い顔」になってくださるために何ができるのか「食」を通してもっと考えていきたい。例えば、姉妹店「侘家古暦堂」は、無添加調味料を販売しています。これも、未来の子どもたちが、おいしいものを判断できることが大切だと考えてのこと。表現の仕方が違うだけで、骨にある思いは変わらず、京都の洋菓子店だからできる「食」について考えていきたいです。

お話しをおききした方

河内 優太朗(かわうちゆうたろう)さん 「株式会社ロマンライフ」 常務取締役

2007年同志社大学商学部卒業。株式会社ロマンライフ入社後、マールブランシュ北山本店など数店舗の店長を経て、2018年に常務取締役に就任。2021年10月京都市山科区にオープンした「ロマンの森」では、立ち上げの中心人物として奮起。現在は、ロマンの森の責任者として継続と発展を考える。洋菓子はもちろん、無類の肉好き。

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