「株式会社ロマンライフ」河内 優太朗さんに聞く 〈2〉
贈る人贈られる人の「京の洋菓子」
和菓子発祥の地といわれる京都。洋菓子で京都を語るなら、最近は抹茶素材のお菓子が主流になる。和菓子とは違う、京ブランドの洋菓子はどうあるべきか、京の洋菓子文化のあるべき姿についてお聞きしました。
贈り物をしたい大切な人を思い出させる手みやげ
京都では、お手みやげの文化が根付いているといいます。お礼や感謝の心を形にし、相手の負担にならないようにと小さな贈り物をすることは、日常的な京のコミュニケーション術の一つ。「贈り物をする人のお手伝いをしたい」と、河内さんは語ります。
贈りたくなる洋菓子をつくること。それが、京の洋菓子文化に必要ではないかと思っています。「ロマンライフ」は、祖父が創業した珈琲店「ロマン」から始まっています。その時の考え方を示す言葉が「誘われたロマンへ今日は誘ってる」。誘われて行ったロマンに、今日は誰かに行かないかと誘っている。そうなるように、最高の品質で最高のおもてなしを、最高の状態でお届けする心を表しています。これは「マールブランシュ」でも同じです。人の思いは、絶対連鎖すると思っていて、そもそも贈り物をするということは、贈る誰かがそこにいるということ。大切な人がいるからこそです。でも、世の中忙しい方が多いですから、たまに忘れることもありますよね。その時に「カワイイ箱を見つけたから、誰かにあげたい…あの人どうしているかな」という、大切な人を思い出していただく、そんな思いをサポートできればと思っています。
おいしい贈り物で喜びをリレーする
贈り物をする人に贈る物の良さを伝えるのも私たちの仕事だと思っています。例えば、「茶の菓」というお菓子は、茶畑から始まっています。「365日24時間お茶と土のことを考えている茶農家さんが、丁寧に手で摘み、発酵が始まるのですぐに工場に運び、シェフが工場で丁寧に調整して、色とびをしないように香りが残るように焼いて、包んで、割れないように運んで「てまひまかけたお菓子ですよと」と、伝えながら販売する。そして、贈る方がそういうストーリーを受け取って下さったら、贈られた方が心を動かしてくださるかもしれない。そんなバトンの受け渡しから、心が動く喜びをリレーできたら。こういった連鎖は、縁を大切にする京都ならではの考え方といえるかもしれません。