「京懐石 美濃吉」佐竹 洋治さんに聞く 〈1〉

改めて知る「京料理の魅力」

和食を代表する「京料理」。ユネスコ無形文化遺産に登録をされて数年の和食、その文化の背景や歴史などを物語る京都発祥の料理について、ありきたりではない今の話、料理人の本音をお聞きしました。

京料理の魅力は旨味ある和だしのチカラが大きい

京料理とは、京都の歴史によりつくられた日本料理の五体系「大饗料理」「精進料理」「本膳料理」「懐石料理」「有職料理」のことを指します。
そして、季節を感じさせる食材、料理、器を使い、お客さまの好みに合う趣向を整え、もてなしの心をもって提供される料理のことです。そこに共通しているのは「和だし」。京料理の良さは「まず和だしにある」と佐竹さんは語ります。

京料理を追求する時、昆布と鰹の和だしを、食材のことを考えながらまず固めることから始まると思います。
各店ごとにこだわりがありますよね。北海道の昆布でも利尻もあれば羅臼もあるし、鰹節でも無数にあれば、鮪節を使うところもあります。和だし一つとっても、たった一つではありません。
それに、気温や湿度などもありますから、同じ昆布と鰹節を使っても毎日同じように和だしをひくことはできません。だから、難しいしおもしろいということはありますが、店の味を知る人にとっては「違うぞ」となるので、それぞれの店が歴史とともに作り上げてきた和だしになるようにすることが大切です。

そもそも和だしは、健康に良いとされています。科学的にも実証されていますが、昆布と鰹のだしを飲み続けると長寿にもつながるといわれるほどです。
関西は薄味の文化といわれますが、そうではなく旨味の文化で、健康的であっさりとしているのも魅力です。それに和だしは、地元・京都の食材とも良く合います。

昔ながらの日本の良さとともにある料理

京料理を語る時に、外せないのは行事料理です。

お子さんが生まれたら“お食い初め”、子どもの健やかな成長を願う“七五三”や“十三まいり”など、節目ごとのお祝い行事をすることで、さまざまな京料理も生まれてきました。
また、花見の頃のタケノコやゼンマイ、祇園祭の頃のハモ料理、紅葉の頃の松茸料理、雪が降る頃の蕪蒸しといった蕪を使った料理など、一例を挙げただけですが、料理名を聞くだけでも春夏秋冬を感じられますよね。使う食材や、提供される料理から季節を知ることができます。

毎月料理の内容が変わるなんて世界ではなかなか類を見ませんよ、京料理らしい魅力です。

お話しをおききした方

佐竹 洋治(さたけようじ)さん 「京懐石 美濃吉」 調理総支配人 常務取締役

和食を代表する「京料理」。ユネスコ無形文化遺産に登録をされて数年の和食、その文化の背景や歴史などを物語る京都発祥の料理について、ありきたりではない今の話、料理人の本音をお聞きしました。

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